訪問診療で広がる“遠隔医療事務”活用 ―人だけに頼らない体制づくり―

「今後患者数が増えたとき、本当にこのままで大丈夫だろうか？」
在宅医療や訪問診療を行う医療機関からは、そんな“漠然とした不安”のお声をよく伺うようになりました。
外来診療とは異なり、在宅医療の事務は幅広く、かつ専門性を求められます。
一人の事務スタッフが、患者ごとの訪問予定管理、診療記録の処理、報告書やレセプト業務などを幅広く担う現場が多く見られます。
しかし、こうした業務を「すべてを一人に任せている」体制は大きなリスクだと感じている医療機関様は多いのではないでしょうか。
「誰かに一部だけでも手伝ってもらいたい」
「リスクを分散させておきたい」
当社営業担当はこのようなお声をよく伺っております。 そう思ったとき、果たしてどんな“外注”の選択肢があるのでしょうか？
その一つが「遠隔支援型業務委託」です。
これはスタッフが院内に常駐するのではなく、リモートで算定やレセプト請求、返戻対応などを担う仕組みです。
従来、医療事務の外注といえば「人材派遣」や「現地型の業務委託」が一般的でした。
しかし近年は、電子カルテや医事コンピュータのクラウド化が進み、外注の形も変わりつつあります。
在宅医療や訪問診療というフィールドにおいては、特にこの遠隔型の外注が“フィット”しやすいといえます。 

遠隔支援がもたらす実際のメリット

では、なぜ遠隔型が在宅医療に向いているのでしょうか。その背景には、在宅医療ならではの事情とメリットが密接に関係しています。

1. 物理的な制約：スペースが限られている
   訪問診療中心の医療機関では、患者様が院内に来ないため、広い受付や事務室を設けていないケースもあります。
   デスクや設備を新たに用意する余裕はなく、「人を増やしたくてもスペースがない」という課題がつきまといます。
   
   
   
2. 人材採用の困難さ：スキルを持つ人材の有限性
   在宅医療や訪問診療に必要な算定業務は、外来診療と異なり、在総管・施設入居時管理料・ターミナルケア加算など独自の加算要件に精通していなければなりません。
   しかし、この「在宅医療の算定スキル」を持つ医療事務人材は全国的に見ても非常に限られています。  
   経験豊富なスタッフを採用できる確率は決して高くありません。未経験者であれば育成にも長い時間と労力を要します。
   加えて、在宅医療のニーズが高い地域ほど、そもそも人材の母数が少ない傾向にあり、求人を出しても応募がない、せっかく育った人が辞めてしまう、といった課題が繰り返されています。
   そのため、「必要な人材が見つからない」という状況は都市部・地方を問わず広く存在し、とりわけ地方ではさらに顕著に表れます。
   
   
   
3. 求められるのは“人”ではなく“仕組み”
   在宅医療の経営にとって必要なのは、“あの人がいるから安心”という属人的な体制ではなく、
   「誰がいても業務が継続できる仕組み」ではないでしょうか。
   遠隔型なら業務を分散し、必要な範囲から外部委託できるため、少しだけ外注化するスモールスタートにも適しています。

在宅医療に遠隔型が“フィットする”理由

これまでの医療現場では、「事務はそばにいてくれるもの」という感覚が当たり前でした。
しかし、クラウド型電子カルテや医事会計システムの普及によって、
物理的に“そばにいなくても成り立つ仕組み”が整いつつあります。
それに加えて、在宅医療特有の以下のような条件とも、遠隔型は相性が良いと言えます：

• 業務が多岐にわたり分散しているため、負担になっている業務を外部化したい
• 場所も人手も限られている中で、診療に集中できる時間を作りたい

算定や加算に精通したスタッフを現地で採用するのは難しくても、遠隔なら専門集団から支援を受けられます。

NichiiConnect が提供する“仕組み”としての支援

ニチイ学館が提供する「NichiiConnect」は、在宅医療・訪問診療に特化した遠隔医療事務サービスです。
弊社が長年培ってきた医療事務ノウハウを活かし、レセプト業務・日々の算定・返戻再請求作業・査定分析などの支援を、遠隔チーム体制で提供しています。
そしてNichiiConnectの特徴は、単に「業務を請け負う」だけではありません。

• 複数スタッフ体制という安心の体制のもと、チェッカーと目視点検で算定精度を向上
• 必要に応じたミーティング等で課題の可視化・改善提案を実施
• 診療報酬改定や疑義解釈への迅速なキャッチアップ
• 小規模から導入できるスモールスタート設計

「事務の体制を見直したい」「この施設の患者さんの算定だけ外に出したい」「算定の質を上げる改善策を練りたい」
――そんなニーズにも応えられる、柔軟で継続可能な支援体制を整えています。

おわりに：「人に頼る」から「仕組みで対応する」へ

「今はなんとか回っている」――そんな医療機関も多いかもしれません。
その状態は、果たして今後もずっと続いていくのでしょうか。
患者数の増加や制度改定、スタッフの退職など、医療機関を取り巻く変化は避けられません。
変化に柔軟に対応して持続的に在宅医療を提供するために、「人ではなく、仕組み」で対応する。
遠隔医療事務を活用し、少しずつ外注化を進めていくという選択は、その第一歩になるかもしれません。