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前回のコラムでは、地域連携を成果につなげるうえで「PDCAの仕組みそのものが院内に存在しているか」が、想像以上に大きく成果を左右することをお伝えしました。
今回は、その中でも成果を大きく左右する P(Plan:計画)と D(Do:実行)をどのように組み立てれば、成果に近づくのか を、私たちが「地域連携営業支援サービス」を提供する中で得た知見も踏まえてお伝えします。



計画(P)は5W1Hを明確に

地域連携室の活動は、突発的な相談対応や退院調整が多く、「計画を立てても実行が難しい」という声がよく聞かれます。
しかし、計画が曖昧な状態で営業活動を続けても、成果に向けた改善は進みません。
5W1Hを明確にした具体的な活動計画の作成が重要です。まず取り組むべきは、以下の3つの観点の明確化です。

▼ 計画づくりのポイント

(1)訪問対象の優先順位付け
紹介件数・逆紹介件数、エリアなど、利用可能なデータを基に診療所を区分分けします。
現場の限られた稼働を最大化するためには、訪問の質を上げ、優先すべき訪問先を決めることが不可欠です。

(2) 病院としての訴求ポイントの整理
急性期の強みは多岐にわたります。「当院は何を提供できる病院なのか」「地域のどの課題に応えられるのか」を言語化し、訪問内容に落とし込むことで、営業トークが属人的でなくなります。
診療体制・医師の専門領域・検査体制・受入基準などは、地域医療機関にとって最も知りたい情報です。

(3)月次・週次の訪問計画まで落とし込む
年間の計画で終わらせず、
「今月何件訪問するか」「どの医療機関にどの情報を届けるか」といった運用レベルまで細分化することで、実行の質が安定します。


実行(D)は「訪問して終わり」の営業から脱却する

多くの病院では、訪問自体は行われているものの、「成果につながらない訪問」が多いという課題が見られます。
実行のポイントは次の3つに集約されます。

▼ 実行(D)のポイント

(1)診療所目線で考え、実行する
病院目線ではなく、診療所目線で訪問頻度や会話の内容を考えることが重要です。
訪問頻度でいうと、2~3年に1回の訪問では地域を重要視しているようには感じていただけない可能性もあります。
また、病院側が伝えたいことのPRだけでなく、地域医療機関が知りたいことが何なのか、情報収集をすることでニーズの把握に繋がります。

(2) 管理ツールを活用し活動の記録を残す
訪問記録は、担当者個人のメモに留めるのではなく、病院全体の資産として蓄積することが重要です。
病院内で情報の共有ができる管理ツールを活用し、関係性の変化・ニーズの把握・紹介の見込み理由などを記録していくことで、地域医療機関のニーズの情報分析が可能になります。自院と地域医療機関との密な連携が実現できる第一歩となるでしょう。

(3)訪問後のアクションを迅速に実行する
訪問先で得られた依頼・質問・要望は、院内の関係部署と連携し、できる限り速やかに対応することが重要です。
「持ち帰り事項に必ず着手する」「診療所への折り返しは当日または翌日までに行う」など、実行フェーズとしての“迅速なフォローアップ”をチーム内で明確にしておくことで、診療所からの信頼形成につながります。


計画(P)と実行(D)の質が上がると、成果が見える

計画(P)と実行(D)の精度が上がると、地域連携活動は“感覚的な営業”から“再現性のある組織的な活動”へ変わります。
以下はPDCAを導入し、地域医療連携強化のための取り組みをした急性期の病院の事例です。

取り組み内容:
紹介実績をもとに、活動エリア内の診療所を区分分けし、ターゲットを明確化。紹介が月1件未満の診療所への営業を強化
訪問予定期間と訪問の目標件数を考慮し、訪問計画を作成
整形外科・耳鼻咽喉科にてアピールポイント(強み)を活用した訪問活動、地域の声を活かしたツールを作成

成果:
訪問の“狙い”が明確になり、限られた稼働の中で効率的に活動
訪問目的ごとの成果(紹介増・関係構築など)が可視化
整形外科・耳鼻咽喉科の紹介件数増

このように一定の型ができると、「評価(C)・改善(A)」も回しやすくなり、成果の出る循環が生まれます。
こうした支援の中で蓄積された知見は、PDCA全体の設計にも大きく関わってきます。


まとめ

地域連携の成果は、担当者の熱意だけではつくれません。
病院としての方針、計画の精度、実行の継続性――この3つが揃って初めて、持続可能な連携強化が実現します。
次回のコラムでは、成果をさらに伸ばすための「評価(C)・改善(A)」を深掘りします。

私たちニチイ学館では、病院と地域の関係構築を支える仕組み作りをお手伝いしています。
院内の負担を減らしつつ、持続的に“紹介につながる関係性”を育むための外部パートナー活用を、ぜひ選択肢のひとつとしてご検討ください。

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