令和6年度診療報酬改定により、保険医療機関等の書面掲示事項については、「原則として、ウェブサイトに掲載しなければならないこと」となりました。
本記事では「保険医療機関等の書面掲示」のウェブサイト掲載について、令和6年度診療報酬改定の内容、書面掲示事項をホームページ(ウェブサイト)に掲載する場所、具体的な例文、対象となる施設基準等の項目と掲示事項をご紹介します。
令和6年度診療報酬改定「書面掲示事項のウェブサイトへの掲載」とは
改定の内容
令和6年度診療報酬改定では「デジタル原則に基づき書面掲示についてインターネットでの閲覧を可能な状態にすることを原則義務づけするよう求められていることを踏まえ、保険医療機関、保険薬局及び指定訪問看護事業者における書面掲示について、原則として、ウェブサイトに掲載しなければならないこととなりました。
(例)医療DX推進体制整備加算
[施設基準] | |
(1)~(6)略 | |
(7) | 医療DX推進の体制に関する事項及び質の高い診療を実施するための十分な情報を取得し、及び活用して診療を行うことについて、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。 |
(8) | (7)の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。 |
(9) | 略 |
上記のように、保険医療機関等に掲示している事項について、原則としてホームページに掲載する必要があります。
経過措置・ホームページを持っていない場合の対応
本改正に際しては、令和7年5月31日までの経過措置が設けられています。
また、「自ら管理するウェブサイトを有しない保険医療機関等は対象外」です。
書面掲示事項をホームページに掲載する場所
書面掲示事項をホームページのどこに掲載するか、明確な規定はありません。掲載すべき項目が少ない場合は、トップページの医院概要や診療案内などに追記する形で対応すればよいでしょう。
届出をしている施設基準が多い場合は掲載項目が多くなります。書面掲示のためのページを設ける医療機関様もありますが、追加でページを制作すると制作費用がかかる場合があります。
ニチイ学館のホームページ制作サービスMediClips(メディクリップス)は、「保険医療機関の書面掲示」専用ページを標準コンテンツとして備えており、医療機関様のご要望に応じて無料※で公開いたします。 |
ホームページに掲載する際の例文
書面掲示事項をホームページに掲載するとき、具体的にどのように書けばよいのでしょう。
ここでは、MediClipsをご利用いただいている医療機関様からご依頼やご相談の多い項目(医療DX推進体制整備加算、明細書発行体制等加算、一般名処方加算、情報通信機器を用いた診療)について、例文をご紹介します。
保険医療機関の書面掲示(例文)
・医療DX推進体制整備加算
医療DX推進について
当院はオンライン資格確認により取得した診療情報を診察室で閲覧・活用できる体制を整えています。
また、電子処方箋および診療情報共有サービスの導入により、質の高い診療を実施するための十分な情報を取得・活用して診療を行っています。
・明細書発⾏体制等加算
明細書について
当院は療担規則に則り明細書を無償で交付しています。
また、自己負担のある患者様には診療報酬明細書、領収書を交付しています。
明細書の発行を希望しない患者様は、会計の際にお申し出ください。
・情報通信機器を用いた診療
情報通信機器を用いた診療について
情報通信機器を用いた診療の初診の場合、向精神薬を処方しておりません。
・⼀般名処⽅加算
一般名での処方について
後発医薬品があるお薬については、患者様へご説明の上、商品名ではなく一般名処方(有効成分の名称で処方すること)を行う場合があります。
これにより、特定の医薬品の供給が不足した場合であっても、患者様に必要な医薬品が提供しやすくなります。
※上記の例文は各医療機関様の体制等にそぐわない場合がありますので、ご状況に応じて修正のうえご活用ください。なお、例文のままホームページへ掲載したために生じた不利益・損害等について、弊社は一切の責任を負いかねます。
ホームページへの掲載が必要な施設基準等の項目
対象となる施設基準等および掲示事項
ホームページに掲載すべき内容は算定している加算等によって異なりますので、医療機関様のご状況に合わせてホームページに掲載する必要があります。
ホームページへの掲載が必要な施設基準等と掲示事項を以下のPDFにまとめましたので、ご活用ください。
ホームページへの掲載が必要な施設基準等と掲示事項 |
ニチイ学館のホームページ制作サービスMediClips(メディクリップス)は、「保険医療機関の書面掲示」専用ページを標準コンテンツとして備えており、医療機関様のご要望に応じて無料※で公開いたします。 |
参考資料
令和6年厚生労働省令第35号保険医療機関及び保険医療養担当規則等の一部を改正する省令
令和6年厚生労働省告示第55号高齢者の医療の確保に関する法律の規定による療養の給付等の取扱い及び担当に関する基準等の一部を改正する告示
令和6年3月5日保医発0305第4号診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)別添1 医科診療報酬点数表に関する事項
令和6年厚生労働省告示第58号基本診療料の施設基準等の一部を改正する告示
令和6年3月5日保医発0305第5号基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(通知)別添1 初・再診料の施設基準等
令和6年厚生労働省告示第59号特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件
令和6年3月5日保医発0305第6号特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(通知)別添1 特掲診療料の施設基準等
おわりに
本改正には令和7年5月31日までの経過措置が設けられていますが、経過措置終了間際になるとホームページ制作会社への問い合わせや更新依頼が集中し、対応に時間がかかることも考えられます。できるだけ早く、書面掲示事項のホームページ掲載についてご対応いただくことをおすすめいたします。
ニチイ学館の医療機関・調剤薬局向けホームページ制作サービスMediClips(メディクリップス)は「保険医療機関の書面掲示」専用ページや例文をご用意し、施設基準等の順守をサポートしています。 初期費用0円・月額(税別)4,800円~ MediClips(メディクリップス)サービス詳細ページはこちら▶ |
書面掲示事項のホームページ掲載が義務化された背景には、デジタル社会の実現に向けた政府における共通の指針である「デジタル原則」があります。「自ら管理するウェブサイトを有しない保険医療機関等は対象外」とされていますが、ホームページをお持ちでない医療機関様も、この機会にホームページ制作をご検討されてみてはいかがでしょうか。