本記事は全3部構成となっており、「地域連携活動の課題」「外部支援導入のきっかけ」「外部支援導入後の成果」の3つのテーマでご紹介します。
本記事では、第3部として、「外部支援導入後の成果」をテーマに、紹介件数の変化や新規開拓の実績など、具体的な成果についてご紹介します。
目次
1. 導入サマリ
2. 対談者プロフィール
3. 病院の経営方針と地域における役割
4. 地域連携の現状課題 ~地域連携活動の必要性と、現場業務とのジレンマ~
5. 外部支援を検討した背景 ~成功事例と導入のきっかけ~
6. 実行プロセス ~導入への不安 地域の意見の吸い上げを通じた関係値構築~
7. 導入後の成果 ~院内意識の変化と紹介率の改善~
8. ブランド・ノウハウ・伴走型支援の価値 ~病院とニチイが生み出すシナジーと最大化する成果~
9. 今後の展望
10.終わりに
1.導入サマリ
・病床規模:425床
・病院機能:急性期
・抱えていた課題
(1)紹介患者数の停滞
(2)地域課題の把握不足
(3)営業活動の属人化・人手不足
(4)データ分析不足
・導入後成果
(1)営業活動の強化による地域の開業医からの認知度向上・信頼関係形成
(2)既存の紹介先の関係強化と新規開拓の両面での成果
(3)地域連携の活動が、病院経営に活かせる実践的な情報とネットワークを形成

聖フランシスコ会 姫路聖マリア病院様 病院概要
・所在地:〒670-0801 兵庫県姫路市仁豊野650
・許可病床総数:425床
・病院機能・機能群:急性期病院・DPC対象病院Ⅲ群
聖フランシスコ会 姫路聖マリア病院は、「姫路聖マリア病院はキリスト教の倫理に基づき運営される」を理念に掲げ、
兵庫県の播磨姫路(5市6町)における、急性期、回復期、地域包括ケア等の領域を担っています。
2022年1月よりニチイ学館の地域連携営業支援サービスを導入しています。
2.対談者プロフィール

丸山 副院長 (地域連携室室長)

清水 管理師長(地域連携室)

前田 法人本部長
柿本 特任顧問 MSW(地域連携室)
7.導入後の成果 ~院内意識の変化と紹介率の改善~

・ニチイ
地域連携のサービスが導入されたことで、これまで病院内にあまりなかった活動が始まったと思います。
実際に取り組みが始まったことで、現場の職員の皆さんの意識の変化や、地域との関係性などに変化はありましたか。
・清水 管理師長
正直に言うと、取り組みを始めた当初は、先生方の印象はあまり良くありませんでした。こうした活動にはコストがかかるため、「本当に必要なのか」という声もありました。
ただ、定例会で活動内容だけでなく、どれだけの時間と労力をかけているのかを共有することで、少しずつ理解が広がっていったと思います。
今でも「いつまで続けるのか」と聞かれることはありますが、その際はコストパフォーマンスの観点で説明しています。
もし取り組みをやめてしまえば、現在の病院の立ち位置を維持できなくなる可能性もある。そう伝えると、多くの先生方は納得してくださいます。
コストは確かにかかりますが、続けることで得られる価値を考えれば、十分意味のある取り組みだと考えています。
・丸山 副院長
院内への刺激になったのは、診療科ごとの広報誌の取り組みです。
「この資料はどこに配るんですか?」という話から、「開業医の先生方に配布するので、各診療科の得意分野を書いてください」とお願いして作ってもらいました。
これまで外部の医療機関向けにこうした資料を作る機会は少なかったので、良い緊張感が生まれたと思います。
その影響で、外科の若い先生たちが「自分たちも開業医の先生に挨拶に行きたい」と言い出し、これまで動いていなかった診療科が地域の医療機関を訪問するようになりました。
当院の取り組みを一段引き上げる変化となりました。
・柿本 MSW課長
それから、広報誌の特集号には先生方の写真も掲載されていますよね。
それを見て、「こんな若い先生だったんですね」「こういう先生なんですね」という声を、実際に聞くことがあります。
やっぱり「名前だけ知っている」「顔を知っている」「会ったことがある」「話したことがある」というふうに、段階を踏んで親しみが増えていくと思うんです。
そういう意味では、「得意分野の紹介」「写真の掲載」があることで、先生の人柄が伝わり病院とのつながりにも寄与しています。
・清水 管理師長
開業医の先生から「営業で何度も来てくれるのはマリア病院だけですよ」という声をいただくことがあります。これは営業活動の大きな成果だと思います。
広報活動の本当の目的は、相手の記憶に名前を残すことです。
「マリア病院は何度も来てくれる」という印象が生まれた時点で、その先生の中にすでに病院の存在がインプットされています。
実際の営業活動を通じてそうした声が出ているということ自体、すでに成果が出ている証だと感じています。


・ニチイ
こうした地域連携の活動を継続していく中で、例えば紹介件数や病床稼働率など、数値的にどのような成果やインパクトがありましたか。
・前田 法人本部長
社会医療法人になった当時は、紹介率が50〜60%程度でした。正直「少し低いな」という意識はありましたね。
ニチイさんを導入してからは、70%を切ることはほとんどなく、高いときは80%近くまで上がっています。
病床についてはコロナの影響が大きく、一度落ちてからなかなか戻らない状況が続きました。
ただ、ニチイさんとの取り組みの効果もあり、去年あたりから少しずつ回復してきており、今年度は昨年と同じ水準まで改善してきています。
・清水 管理師長
今回の取り組みにより、紹介率は着実に向上しています。
これまでもABC分析の考え方自体はありましたが、「BをAに引き上げる」「Cを育成する」といった動きは、継続的に実行するところまでは至っていませんでした。
しかし今回の営業活動によって、BランクがAランクへと引き上がる動きが継続的に生まれ、新規の紹介先も広がりを見せています。
特に新規獲得は大きな課題だっただけに、この変化は非常に大きいと感じています。
また、これまで紹介のなかった医療機関から新たに紹介が生まれたり、既存の紹介がさらに増えていくなど、一つひとつの変化が積み重なり、全体として確かな成果につながっていると実感しています。
8.ブランド・ノウハウ・伴走型支援の価値
~病院とニチイが生み出すシナジーと最大化する成果~
・ニチイ
コンサルティングとの違いも含めて、実際に支援を受ける中で感じている価値や、院内だけでは難しかったと感じる点について教えてください。
・清水 管理師長
伴走支援というのもありますが、私が感じているのはニチイというブランドの強みです。
ニチイは多くの病院で医事課業務に関わっていますよね。医事課は診療報酬や病院の仕組みを最も理解している部門です。
そのノウハウを持つニチイが関わるということ自体に、私たちは安心感があります。
病院の構造や診療報酬の仕組みを理解しているからこそ、経営や地域連携の領域にも踏み込んだ支援ができる。
そこが他のコンサル会社との大きな違いだと思います。
ニチイという存在は、病院側にとって非常に身近で信頼できるブランドだと感じています。
・前田 法人本部長
支援の仕方というか、何を支援してもらうかが違うという感じです。
ニチイの場合は、地域連携という分野にかなり特化しているので、その部分については、専門的にしっかりやってもらうというイメージですね。
・ニチイ
病院経営にはさまざまな課題があると思いますが、その中でも今回、地域連携という専門的な分野に対する課題意識が大きかった、という理解でよろしいでしょうか。
・前田 法人本部長
そうですね。ニチイさんの経営支援のサービスについては、正直なところ、最初はあまり詳しく知っていたわけではありませんでした。
ただ、地域連携の取り組みについては紹介してもらって知りました。やっぱり、こういうのは営業力の差もあると思います。
地域としてもいろいろな経営支援の会社を調べたりはしましたが、その中でいくつかうまくいかなかったケースもありました。
その中で、実際にニチイさんと一緒に取り組みを進めていく中で、「やりながら進めていく」という形が合っていたと思います。
イメージとしては、それぞれの得意分野を活かして進めていく、いわゆる“餅は餅屋”という感じですね。
特に地域連携の部分については、一緒に取り組んでいくパートナーというイメージです。
・ニチイ
ニチイの強みは、ブランドや豊富なノウハウ、そして病院と一緒に考えながら進める伴走型の実行支援だと私たちも感じています。
どれだけ良い提案があっても、実際に実行する人がいなければ絵に描いた餅になってしまいますよね。ニチイは、病院の現場と伴走しながら、提案を具体的な行動につなげていく支援を行っています。
実際に他の病院では、「提案がそのまま実行に落とし込まれるので助かる」「伴走してもらえることで、院内で実現できなかったことも前に進む」といった声が多く聞かれます。
貴院でも、こうした伴走型のサポートは、やはり大きな価値だと感じられますか。
・前田 法人本部長
そうですね。そもそも私たちがお願いしているのは、伴走してもらわないとできない部分なんです。
自分たちもやりたいとは思っているけれど、人手が足りなくてできない。その部分をしっかり支援してもらっています。
いくら提案があっても、自分たちで実行できなければ意味がありません。
その点、ニチイさんは実際に動いてくれている。そこは本当にありがたいですね。
それから、取り組みを進める前には必ず話し合いの場を設けてくれます。「こういう方法はどうですか」といった形でこちらの意見も聞いてくれる。
企業側の考えだけで進めるのではなく、病院の考えも取り入れながら進めてくれるところは、とても良い点だと思っています。
・清水 管理師長
私もこのサービスを「すべて任せるもの」ではなく、地域連携室のチームの一員として、ニチイと一緒に作り上げていくものだと考えています。
任せきりではなく、互いに協力しながら進めることで、現場の状況や課題に即した支援が受けられること、そして伴走型で動いてもらえることが、このサービスの大きな価値だと感じています。
9.今後の展望

・ニチイ
今後のどのような地域医療を目指すか、また今後の展望を、お聞かせいただければと思います。
・丸山 副院長
ちょうどこの4月から、医師の意識改革も含めて「できるだけ救急を断らない」という方針を進めていく予定です。
これは、ニチイさんや病院救急隊それぞれに向けて、しっかりとアナウンスしていきます。
もちろん、こうした取り組みはすぐに成果が出るものではありません。
体制が整い、地域に認知され、成果として見えてくるのはおそらく1年後くらいになるでしょう。
ただ、診療報酬改定により救急対応の重要性がさらに高まる流れもあり、今から体制を整えておくことが必要だと考えています。
体制が整ってきたことで、今後は救急受け入れも徐々に増やしていけると期待しています。
医師の働き方改革も進めながら、地域の患者さんに安心して救急医療を提供できる病院を目指していきたいですね。
・前田 法人本部長
当院としての大きな方針は、地域連携をしっかり進めることです。
病院同士や診療所、介護施設などと連携しながら、地域包括ケアの中で役割を果たしていきたいと考えています。
超急性期病院と同じ役割を担うことは難しいですが、急性期医療は引き続き担っていきます。
特に高齢者が増える今後は、1.5次~2.5次救急の患者を受け入れる体制を整える必要があります。
また、当法人には病院・介護施設・訪問看護など多様な機能があり、入院から退院、在宅や施設への移行まで、地域の中でしっかりと患者の流れを回していくことが重要です。
そのためにも、診療所や介護施設との連携強化が重要でニチイさんの支援に期待しています。
病院経営では、患者を受け入れる「入口」と、退院後の行き先を確保する「出口」の両方が重要です。
特に出口は地域連携が不可欠です。
地域全体で患者さんを支える仕組みを作り、安心して医療・介護サービスを受けられる体制をさらに整えていきたいと考えています。
・柿本 MSW課長
今、先生方もおっしゃっていましたが、医療の役割は大きく分けると「超急性期を担う病院」「療養や長期ケアを担う施設」の二つに分かれると思います。
その中で、当院の強みはその両方が網羅できるところだと思っています。
もちろん、本当に長期療養が必要な方は専門の施設や病院にお願いする形になります。
一方で、当院としては高齢者救急をしっかり受けていく役割があるのではないかと考えています。
今後の当院の課題と展望として、急性期治療後の出口戦略をさらに強化していきたいと考えています。
超急性期治療が終わった患者さんを支援病院・介護施設・在宅のどこにつなぐか、その判断を早く行い、病床を効率的に管理できる体制を作ることが重要です。
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)も含め、医師と連携しながら最適な判断を進めていきます。
特に高齢者救急患者は、治療後に長く抱え込んでしまうと新たな救急受け入れが難しくなるため、退院先の確保が不可欠です。
当院では、手術患者はまず地域包括ケア病棟で受け、その後回復期病院や施設、在宅への移行を関係機関と調整しながら進めています。
場合によっては病院・施設・在宅の三者で連携する“三角調整”も行い、地域全体で安心して受け入れられる体制を整えていく予定です。
また、地域包括ケアの中で、施設・病院・診療所・介護事業者との連携をこれまで以上に強化し、地域全体を一つの病院のように考える視点で体制づくりを進めたいと思います。
安心できる退院先を確保することで、高齢者救急患者の受け入れもスムーズになり、地域の信頼をさらに高めることができると考えています。
・清水 管理師長
今後、地域連携室は単なる「連携」の部署ではなく、病院経営にも深く関わる部署へと進化させていきたいと考えています。その理由は大きく二つです。
ひとつは、地域のデータを持っていること。もうひとつは、地域の実態を最も理解していることです。
営業活動を通じて地域の医療機関に足を運び、現場を見て、肌で感じながら集めた情報は、病院内にいるだけでは得られない貴重なリアルな情報です。
これは2040年になってAIやICTが進んでも、完全には代替できないものだと思います。
このように得られた情報を活かし、地域連携室として病院運営や経営企画に地域連携の視点を組み込んでいくことが、今後の大きな展望です。
営業活動で得た地域の現場感を経営戦略に反映させることで、地域包括ケアの中でより実効性のある施策を進めることができます。
地域連携室が病院運営の意思決定に直接関わり、地域の医療機関との関係や現場の状況を経営に活かす、そのような役割を果たしていくことが、当室としての今後の目標です。
10.終わりに
<病院関係者&コーディネーター&本社メンバー>
・同規模病院での実績(300~400床台):5件
・導入期間目安:導入決定から3ヶ月
・支援体制:専属コーディネーター2名、エリアサポートメンバー1名、サービス責任者1名
地域連携営業支援サービスの特徴
体系化された仕組み(PDCAサイクル)を回し、持続的な活動を支援いたします
病院様の現状把握と、今後の計画立案から地域の医療機関等へ実際に営業活動することで、
地域の声から課題を発見し、改善策の協議を地域連携室の皆様と一緒に行っていきます。
また、実際に活動を行うだけでなく、都度院内に共有をすることで病院全体の取り組みとして方針を合わせ、
結果のご報告まで実行します。


