
令和8年度診療報酬改定では、ホームページへの掲載が求められる施設基準・掲示事項についても、内容の見直し・拡充が行われました。特に注目すべきは、「体制の有無」に加え、具体的な実績や運用状況の公開が求められている点です。
本コラムでは、令和8年度の改定で新たに追加・強化された内容のうち、ホームページ掲載に関係するものを中心に解説します。
目次
【おさらい】保険医療機関の施設基準に係る書面掲示のホームページ掲載
令和8年度改定のポイント
ホームページ掲載が必要な施設基準等と掲示事項(令和8年度改定版)
ホームページ掲載の実務対応の要点
参考資料
【おさらい】保険医療機関の施設基準に係る書面掲示のホームページ掲載
令和6年度の診療報酬改定で導入
前回の令和6年度診療報酬改定では、保険医療機関の施設基準等に関する掲示事項について、院内掲示に加え、ホームページへの掲載が求められる仕組みが導入されました。
その背景には、医療DXの進展や患者による医療機関選択の重要性の高まり、情報公開による透明性の確保
が挙げられます。
経過措置はすでに終了
このルールの導入当初は、対応準備のための経過措置が設けられていましたが、令和7年5月31日をもって経過措置は終了しています。
現在は、対象となる医療機関は対応が前提(実質義務)となっています。
一方で、施設基準のなかで「自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではない」とされているものがあります。
ただし、今後の制度強化の可能性や患者への情報提供の重要性を踏まえると、ホームページの整備自体を検討すべきフェーズに入っているといえるでしょう。
令和8年度改定のポイント
「体制の有無」から「実績・運用の公開」へ
令和8年度診療報酬改定では、施設基準に係る書面掲示のホームページ掲載について、院内掲示のデジタル化にとどまらず、患者に対する情報公開として具体的な実績や運用状況の開示が求められています。
ここからは、厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要」に沿って、該当する主要な項目を見ていきます。
回復期リハビリテーション病棟入院料
令和8年度改定では、回復期リハビリテーション病棟入院料の評価の見直しに伴い、リハビリテーションや在宅復帰等に関する質の高い取り組みが要件化されています。
ホームページ掲載事項
- 退棟患者数
- 状態区分別内訳
- リハビリテーション実績指数
これらの実績データを、少なくとも3か月ごとに公開し、「どの程度機能しているか」を数値で示すことが求められます。
回復期リハビリテーション病棟入院料 通則より抜粋
(9) 次に掲げるものを少なくとも3か月ごとに当該保険医療機関内に掲示していること。
ア 前月までの3か月間に当該保険医療機関の回復期リハビリテーション病棟又は病室から退棟した患者の数及び当該退棟患者数の基本診療料の施設基準等別表第九の二に掲げる回復期リハビリテーションを要する状態の区分別内訳
イ 回復期リハビリテーション病棟又は病室における直近のリハビリテーション実績指数(「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」別添1第1章第2部第3節A308(13)イに示す方法によって算出したものをいう。以下第11において同じ。)
(10)(9)の掲示事項について、ウェブサイトに掲載していること。自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではないこと。
身体的拘束最小化推進体制加算
令和8年度改定では、身体的拘束の最小化に向けた取り組みについて身体的拘束最小化推進体制加算が新設されました。
ホームページ掲載事項
- 原則として身体的拘束を行わない方針であること
- 身体的拘束最小化のために実施している取り組み
- 身体的拘束の実施状況
このように、本加算では「方針」に加え「実績」まで開示する必要があります。
身体的拘束最小化推進体制加算の施設基準より抜粋
(13) 当該保険医療機関の見やすい場所に、当該保険医療機関が原則として身体的拘束を行わない方針であること、身体的拘束最小化のために実施している取組及び身体的拘束の実施状況((11)に掲げる実施率※の推移を含む。)を掲示していること。
(14)(13)の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではないこと。
※当該病棟において、直近3か月における当該加算を算定することのできる入院料を算定した日数のうち、身体的拘束を実施した日数を、当該入院料を算定した日数で除して得た割合
口腔管理連携加算
令和8年度改定では、入院患者が有する口腔状態の課題への質の高い対応を推進する観点から、口腔管理連携加算が新設されました。
ホームページ掲載事項
- 歯科医療機関との連携体制
- 入院中に歯科訪問診療が行われる場合があること
- 連携歯科医療機関の名称
口腔管理連携加算に関する施設基準より抜粋
(2) 当該保険医療機関とは別の歯科医療機関と連携体制を構築しており、必要時は入院中に歯科訪問診療が行われる場合があること、及び連携歯科医療機関の名称について、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。
(3)(2)の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではないこと。
情報通信機器を用いた診療
オンライン診療は、普及から「適正な運用」を重視する段階に移行し、安全性確保に関する要件としてチェックリストの掲示が追加されています。
ホームページ掲載事項
- 向精神薬の初診処方を行わない体制
- 自院での対応状況を記入した「オンライン診療指針」の遵守を確認するためのチェックリスト
チェックリストの掲示により、オンライン診療を「どう安全に運用しているか」を明示することが求められています。
情報通信機器を用いた診療に係る施設基準より抜粋
(1) 略
エ 以下について、当該保険医療機関のウェブサイトに掲示していること。
(イ) 情報通信機器を用いた診療の初診において向精神薬の処方は行わないこと
(ロ) 当該保険医療機関での対応状況を記入した「オンライン診療指針」の遵守の確認をするためのチェックリスト
また、医療広告ガイドラインの遵守についても明記されています。
オ 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)を遵守していること。また、当該保険医療機関のウェブサイトを作成する際には、「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」を参考にすること。
電子的診療情報連携体制整備加算及び電子的歯科診療情報連携体制整備加算、電子的調剤情報連携体制整備加算
医療DX関連の評価は再編され、「電子的診療情報連携体制整備加算」等が新設されました。これに伴い、医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算は廃止されています。
ホームページ掲載事項
- オンライン資格確認等システムにより取得した診療情報等の活用
- 医療DXを通じた質の高い医療の提供
- 診療報酬の区分・項目の名称・点数又は金額を記載した詳細な明細書の無料発行
電子的診療情報連携体制整備加算1に関する施設基準より抜粋
(7) 次に掲げる事項について、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。
ア 医師等が診療を実施する診察室等において、オンライン資格確認等システムにより取得した診療情報等を活用して診療を実施している保険医療機関であること。
イ マイナ保険証を促進する等、医療DXを通じて質の高い医療を提供できるよう取り組んでいる保険医療機関であること。
ウ 算定した診療報酬の区分・項目の名称及びその点数又は金額を記載した詳細な明細書を患者に無料で交付していること。
(8)(7)の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではないこと。
遠隔電子処方箋活用加算、救急時医療情報取得加算
これらの2つの加算では、電子処方箋への対応状況の明示が求められています。
ホームページ掲載事項
- 電子処方箋対応医療機関であること
遠隔電子処方箋活用加算に関する施設基準より抜粋
(3) 電子処方箋対応医療機関であることをウェブサイトで掲示していること。
救急時医療情報取得加算に関する施設基準より抜粋
(1) ウ 電子処方箋対応医療機関であることをウェブサイトで掲示していること
訪問看護医療情報連携加算
在宅医療におけるICT連携推進の観点から、訪問看護利用者の診療情報等の共有について、訪問看護医療情報連携加算が新設されました。
ホームページ掲載事項
- ICTを用いた連携体制を構築している訪問看護ステーションであること
- 情報を共有している実績のある連携機関の名称等
経過措置
訪問看護医療情報連携加算のホームページ掲載に関する対応には、令和8年9月30日まで経過措置期間が設けられています。
訪問看護医療情報連携加算に関する施設基準より抜粋
(5)(1)に規定する連携体制※を構築していること及び実際に患者の情報を共有している実績のある連携機関の名称等について、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。
※在宅での療養を行っている患者の診療情報等について、訪問看護医療情報連携加算を算定する保険医療機関と連携する他の保険医療機関、介護保険法に定める居宅サービス事業者、地域密着型サービス事業者、居宅介護支援事業者若しくは施設サービス事業者又は障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定特定相談支援事業者若しくは児童福祉法に基づく指定障害児相談支援事業者等(以下「連携機関」という。)とICTを用いて共有し、当該情報について常に確認できる体制
(6)(5)の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではないこと。
院内トリアージ実施体制加算
院内トリアージに関する評価では、院内トリアージ実施体制加算が新設されました。これに伴い、院内トリアージ実施料は廃止されています。
ホームページ掲載事項
- 院内トリアージの実施についての説明
院内トリアージ実施体制加算に関する施設基準より抜粋
(2) 患者に対して、院内トリアージの実施について説明を行い、院内の見やすい場所への掲示等により周知を行っていること。
(3)(2)の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではないこと。
内視鏡手術用支援機器加算
医療機器の効率的な活用及び高額医療機器の集約化を図る観点から、内視鏡手術用支援機器加算が新設されました。
ホームページ掲載事項
- 内視鏡手術用支援機器を用いた手術の前年の実績(症例数及び平均在院日数)
経過措置
内視鏡手術用支援機器加算のホームページ掲載に関する対応には、令和9年5月31日まで経過措置期間が設けられています。
内視鏡手術用支援機器加算に関する施設基準より抜粋
(8) 内視鏡手術用支援機器を用いた手術の前年の実績(症例数及び平均在院日数)について、ウェブサイトに掲載していること。
ホームページ掲載が必要な施設基準等と掲示事項(令和8年度改定版)
ホームページ掲載が必要な施設基準等と掲示事項を以下のPDFにまとめましたので、ご活用ください。
| ホームページ掲載が必要な施設基準等と掲示事項(令和8年度改定版) | ![]() |
※告示等が公布されている場合がありますので、必ず最新の情報をご確認ください。
ホームページ掲載の実務対応の要点
ホームページは公式な情報公開の場として位置づけられており、本改定への早期対応が重要です。
以下に実務対応の要点をまとめています。
① 対象加算の棚卸し
まずは、自院で算定している加算・施設基準のうち、ホームページ掲載が必要となる項目を正確に洗い出すことが出発点です。
② 実績データの集計・更新
実績の掲載が求められる項目については、データの集計・更新の仕組みを確認しましょう。
③ ホームページ内の整理・掲載箇所の検討
掲載項目の増加により、従来の「お知らせ」や「トップページへの掲載」では管理が困難になる場合があります。
「掲示事項」の専用ページを設けるなど、患者にとって見やすく、探しやすい構成となるよう掲載方法を検討しましょう。
ニチイ学館の医療機関・調剤薬局向けホームページ制作サービスMediClips(メディクリップス)では、「保険医療機関の書面掲示」専用ページが標準コンテンツとなっており、初期費用無料で施設基準等の掲示事項のページを含むホームページ制作が可能です。
④ 院内掲示との整合性
院内掲示とホームページの内容は一致していることが前提です。
更新タイミングの差(院内のみ更新されている等)、表現の差(院内は詳細、ホームページは簡略など)がないよう注意しましょう。
おわりに
これまで広告ツールの一つと捉えられていたホームページは、医療機関にとって今や制度・算定にも密接に関わる重要なインフラとなっています。
本コラムが制度理解の一助となれば幸いです。
参考資料
※下記の他にも、告示等が公布されている場合がありますので、必ず最新の情報をご確認ください。
基本診療料の施設基準等の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第70号)
基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日保医発0305第7号)
特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第71号)
特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日保医発0305第8号)
医療費の内容の分かる領収証及び個別の診療報酬の算定項目の分かる明細書の交付について(令和8年3月5日保発0305第18号)
診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)(令和8年3月5日保医発0305第6号) 別添1 医科診療報酬点数表に関する事項
「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について(令和8年3月27日保医発0327第6号)
掲載先:厚生労働省 令和8年度診療報酬改定について(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html)
ニチイ学館の医療機関・調剤薬局向けホームページ制作サービスMediClips(メディクリップス)は、初期費用0円、月額4800円~。
「保険医療機関の書面掲示」専用ページを標準コンテンツとしてご用意しています。
MediClips(メディクリップス)サービス詳細ページはこちら▶
